サプライヤトラブル対処法11(牧野直哉)
事例:サプライヤから突然ディスコン(discontinued、ディスコンティニュード)やEOL(End Of Life、生産終了)を通告される。理由は
・数量減
・採算が合わない
・品質要求が高過ぎる
・事業売却
等様々。通告される品目が多すぎて、対応が追いつかない
対応策1:調達・購買部門が主導して自社購買魅力を判断し、関連部門を動員して乗り切る
ディスコンやEOLの連絡は、半導体や電子部品に限らず起こっています。発生原因は、「選択と集中」といった言葉で、経営効率追求が目的です。
私は、ディスコンやEOLの申し出があった場合、次のように対応していました。
1.ディスコンやEOLスケジュールを確認してラストバイのタイミング把握
2.使用先を特定し、需要見通しを確認
3.品目特性をふまえ、対応方針を決定。対応方針は大きく2つ
(1)使用先のライフサイクルをふまえ、総需要をラストバイのタイミングで購入し在庫化
(2)在庫では品質が確保できず、ライフサイクル分の購入では在庫コストがかさむ場合、①一定期間の在庫購入 ②代替品検討の実施
総需要分の在庫を発注して管理を行ったり、代替品の検討を行ったりするのは、調達・購買部門ではありません。担当部門に対して、ディスコンやEOLの連絡があった旨を説明し、具体的な対応を要請します。
こんなときバイヤの頭をよぎるのは、ディスコンやEOLといったサプライヤ決定を覆せるかどうかです。社内関連部門から生産継続要請されますね。生産が続けば、在庫数や在庫方法、代替品の検討は不要。社内関連部門の業務量を増やさないために行われる生産継続要請です。しかしディスコンやEOLを覆すのは不可能です。再検討を申し入れて覆るのであれば、ディスコンやEOLといった要請は行われません。サプライヤや品目によって異なる事情はあるでしょう。ディスコンやEOLの要請に対し生産継続の主張を続けるのは、検討時間の浪費です。一刻も早く割り切って、対応策を打つべきです。
サプライヤの生産・供給戦略変更の影響をできるだけ最少化するために、ディスコンやEOLされる前提での取り組みをバイヤ企業で全社的に行います。この段階では、ディスコンやEOLまでの時間との勝負です。ここで社内関連部門に理解をえるためにも、調達・購買部門としては、事前の取り組みが必要です。