調達部員は、何でも屋を撲滅しよう!(坂口孝則)

よく、コンサルタントやシステム屋さんの発言する先端の内容と、現実のギャップがすごくて驚くことがあります。よく、調達改革のシステムなどの最新解説を聞くと、「最適購買」「自動化」「効率化」の極限が語られます。しかし、私が現場で出会う現実とあまりに違うのです。

たとえば、各社の支出を見ていると、「なんでこんな商社からモノを買っているんですか」というケースが多々あります。そうすると、「なんでもやってくれるんですよ」といわれます。自社の工場を歩き回って、各部署にヒアリングして、モノを集めてくれる「便利屋」です。

たとえば、「ネジが一本だけ足らなくなったので、納品してくれないか」と生産現場から請われて、買いに行って、納品してくれるようです。あるいは、「どうしてもペンキが必要になった」といえば、ホームセンターに買いに行ってくれる。もちろん、売価は、手間賃込みなので、2倍とか3倍とか、それ以上になります。たった100円の商品は、200円とか500円になります。

こういう、便利屋が跋扈しているのです。ある企業では、アタッシュケースを片手に、御用聞きしている便利屋の年間売上高は2億円だそうです。仕入れ価格を半分としても、1億円の儲けです。調達・購買部員がやったら、費用がかからないのに、外部に1億円も提供しています。

通常、この便利屋がやっていることを、多少、価格交渉しても、ほとんどコスト削減としてはカウントされません。ある会社で聞いたのですが、総務部が「会社の夏祭りで蚊取り線香を使うので、買ってきてほしい」と頼んだところ、500円の蚊取り線香は、5000円で請求されたそうです。これをちょっとコスト削減交渉して4900円になったとします。でも、そもそも、500円で買うべきではないですか?

こういうデタラメが企業の支出でまかり通っているのです。自分たちの業務をラクにするとはいえ、面倒臭さを肩代わりする費用が過剰です。みなさんが会社のオーナーだったらわかると思うのですが、社員一人ひとりがメチャクチャな支出をしていると、ほんとうに怒りたくなります。ぜひ、調達・購買担当者だけでも、そのまっとうな感覚をもっておきたいものです。

こんなことをいうと、偉そうなコンサル会社からは「幼稚なことを言うなよ」とバカにされるんでしょうね。でも、私は、そんなインテリのふりをしたスカしたひとたちよりも、現場で奮闘している調達・購買担当者に寄り添っていきたいと思いますね。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

あわせて読みたい