ずっと調べてわかった優秀なひとの法則(坂口孝則)
以前、驚いたことがあります。というのも、ある芸能人のかたが、ものすごく経済に詳しいのですね。雑談のはしばしからも、その教養が感じられました。ビジネスパーソンで日経新聞を読んでいるひとは多いと思いますが、自分なりの解釈で世界経済の動向や、あるいは商品トレンドを語ることができますか。できないケースが多いと思います。でも、そのひとはできていた。
私は興味本位で、「ところで……。なぜそんなに詳しいんですか」と聞いてみました。わざとここで書きますと、その芸能人とは、お笑い芸人のかたです。世界経済とか先端企業動向に詳しくない、すくなくとも、詳しいイメー
ジはない職業です。ビジネス誌などを読んでいらっしゃるのか。
すると、意外な答えでした。「いえ、さまざまな企業のトップの方に、こちらからお願いしてランチをしています」と。びっくりしました。仕事ですか、と訊く私に「いえ、個人的に勉強を続けています」と。ほんとうに、個人的にランチに誘って、さまざまな現場のリアルを訊くらしいのです。
すごいね。
このかたに限らず、優秀なひとの特徴は、二つのうちどちらかの特徴を備えていると思います。
まあ、私が会った優秀なひとたちの数よりも、人生の先輩方はもっとお会いになっているでしょう。しかし、私はさまざまな分野の優秀なひとたちに会ってきましたから、ご容赦ください。
そこで、優秀さの特徴は「めちゃくちゃ多くのひとに会って話を聞いている」か「めちゃくちゃ多くの本を読んでいる」かのどちらかのように思います。企業のトップが、意外なほど読書家であることを気付かされるケースが多々あります。さらに古典などをしっかり読んでいるのですよね。しかし、私は本だけが成功の理由とは思いません。
たしかに本を読むのは効率的なツールではあります。でも、本を読めないひとも一定の数はいるのですよね。その場合は、とにかく、多くのひとたちに会って話を聞いて、そして意見を求めればよいことになります。おそらく、
本を読むのも、ひとと会うのも、おなじく「そのひとの人生を味わう」ことにほかならないからでしょう。
私はインタビューをするときに、対象者の出版した書籍を全冊読むことを課しています。すると、さらに理解が深まります。これくらいのことは努力ではなく、当然のレベルです。