お金を「もらって」勉強する方法(坂口孝則)

若い私は考えました。「どうやったら効率的に勉強できるだろう」と。出した答えは、「お金をもらって勉強しよう」というものでした。かなり奇妙な答えではあるものの、理にかなっていると思います。というのも、未知なこ
とも、お金をもらってしまったら勉強せざるをえません。それに、期日までに強制的に学ぶだろう、と考えました。同じ時期に、経済学者として高名な野口悠紀雄先生が「わからないことがあったら、本を一冊書いてみればいい」とおっしゃっており、衝撃を受けました。

そうか、やはり、お金をもらって勉強するのがもっとも効率良いのだ、と。

プレゼンテーションの勉強をしようと、考えました。どうするか。キーワードは、「お金をもらって勉強しよう」でした。文章とちがって、プレゼンテーションはまさにその場に誰かがいてくれなければなりません。プレゼンテ
ーションの練習をしたいから集まってください、と呼びかけても誰もやってきませんよね。かつ、プレゼンテーションの中身も、日々ちゃんとブラッシュアップし続けたいものです。

そこで私は「調達・購買私塾」をつくりました。月に一度の就業後、若手向けに専門内容を講演する塾です。有志を募って講師を5人集めました。基本的には毎回3人の講師が講演します。それで、アンケート結果のもっともよ
かった講師一人のみが翌月も講演し、残り二人が入れ替わる仕組みです。好評を博した講師はずっと講演をつづけます。

このスタイルを「少年ジャンプ方式」とぼくたちは呼んでいます。そこでは、講師のキャリアや勤務企業などは、まったく関係がありません。当初は、このやり方に懸念が呈されました。「中身がなくても、笑わせたら高評価になるんじゃないか」とかね。

でも、まったく問題ありませんでした。

純粋に、聴講者からの得票のみを重視する、というスタンスを取り続けました。講師にとっては酷ですが、この仕組みなら講演内容も時代の鮮度を保ち続けなければいけないし、同時に伝え方を自問しつづけなければいけません。つまり、誰にもメリットがあるのです。壮大な練習場です。

正直にいえば、私が必ずしも勝ち続けているわけではありませんでした。負けるときも多かったです。でも、そんなときにもどんな講演が良くて、どんな講演だったらダメなのか私なりに分析しています。また、その場を借りてさまざまなテストも行っています。そして私塾の場を使った試行錯誤の結果と学びを、外の場でおこなう講演に反映しているんですね。だから、繰り返すと、「お金をもらって勉強する」のが重要です。

前段で少しお話したように、当初は懸念がありました。私塾で「少年ジャンプ方式」を講師に提案したところ、「お客に媚び売る講師が勝ち残るのではないか」「笑わせただけの講師が高評価なのではないか」といった懸念が呈されたんです。しかし、実際やってみれば杞憂に終わりました。もちろん、中身が同じであればお客を笑わせた講師が優位ですよ。ただ、お客はそれほどバカではありません。高評価の講師は内容に気づきがあり、伝え方も良いひとたちだったのです。

ですので、みなさんも、仕組みを構築して学び続けることを勧めます!

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