生き残れない調達部員がしがちなNG言動3つ(坂口孝則)

「神様っているの?」

9歳の息子から質問されたとき、近くの消費者金融のATMに連れて行きました。「どうしても生活費が足らずに苦しんでいる人がいるんだよね」と伝え、帰宅すると動画サイトで債権者集会を検索し、路頭に迷う人たちや、財産をすべて失った人たちを見せました。「ほんとうに神様がいたら、こういう人を助けてほしいよね」と言いました。

神の存在を否定はしません。神は沈黙しているかもしれません。それは遠藤周作の傑作『沈黙』のテーマでした。ただそれでも私は子供に、合理性と理屈により自らの力で強く生きてほしいと願っています。

話を変えます。

「最悪の時ですよね。上の人たちは逃げ切ったら終わりだし」と、先日、某社の若い調達部員から聞きました。上の世代はあと10年ほど働いたら定年で逃げ切れるけれど、私たちはそうではない、というわけです。

しかし、そうでしょうか。たとえば1964年のオリンピックは栄光として良い思い出になっています。しかし、当時はチフス、コレラ、赤痢が大流行していました。交通事故の死亡率は世界一で、建設現場では一日10人が転落し多数の死亡事故が普通でした。建設工事の音がうるさすぎて窓を割る強盗が多発。さらにオリンピックへの給水を優先するため、都民への水道は制限され、スナックでは「氷なしで飲んでくれ」と言われるほどでした。

過去は美しく記憶され、つねに現状は大変だと認識される。それなら、目の前のことを必死にがんばるしかありません。

話を変えます。

別の方から、「コロナ禍なのに会社の決断が遅い」と苦情を聞きました。世の中が激変しているのに、いまだに多層の承認プロセスで、新しいこともまったく進まない。たしかにそうなんでしょう。ところで、会社を批判するその人自身はどれだけ素早い決断や行動をしているのでしょうか。「会社にビジョンがない」と批判する人が、独自のビジョンを持っている場合を私はほとんど知りません。

しっかりした日本企業ほど官僚体質になっています。コロコロと方針を変えられるようになっていないのです。せめて私たちは自らが時代遅れにならないように、刃を研ぎ続ける必要があります。

マンガ『とろける鉄工所』を知っていますか。電子書籍もあります。これは溶接工の大変さや持病などを描いたものです。読後、たまたま違うニュースで、世界一のユーチューバーが9歳で年間30億円を稼いでいると読みました。この絶望的な格差にめまいがしました。

しかし、ここには社会から価値を異常なほど認めてもらえる人がいる、という事実だけがあります。格差を叫んで解消するのは政治家に任せましょう。私たちは、少しでも価値を認めてもらえるように学習を重ねるだけです。

大丈夫、安心してください。誰よりも努力していたら神様が見ていますから、きっとチャンスが転がり込みます。私が確信していることの一つです。あれっ、そういえば神様っているんだっけ?(笑)

まとめます。
「生き残れない調達部員がしがちなNG言動3つ」
・合理的に考えて行動しようとせず、いつも運任せ
・時代のせいにして、自らが変わろうとしない
・格差をボヤくだけで、上に登ろうとしない

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