サプライヤー戦略(10)競合はほんとうに正なのか-1

・価格を競合だけで決定しても良いのか

 

前章と本章で、サプライヤーの費用構造、ならびにサプライヤー価格が決まるメカニズムを俯瞰してきました。この過程により、これまでブラックボックスだった製品の費用構造と、理論的な仕組みで価格が決まっていくことを、少しでも理解いただけたでしょうか。

これまで、調達・購買部門によっては、「サプライヤーとの利益共創関係を構築する」といいながら、現場では単なるサプライヤー同士の競合を是とする風習がいまだに蔓延(はびこ)っていました。本来ならば調達・購買業務とは、サプライヤーの費用構造を見抜き、両社にとって最善の価格と数量で調達活動を行う、きわめてクリエイティヴな仕事だったはずです。サプライヤー戦略というときに定性的なことよりも、定量的な判断基準をまず伝えたかったのはそのような思いがありました。

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