サプライヤー戦略(4)この投資は認めるべきか-1
・現在価値を利用したとき見えてくる投資評価の新たな世界
自分の昔の仕事を見るとき、いつも恥ずかしさがつきまとう――。そんな経験が誰にでもあるでしょう。現在の自分であれば、ありえない間違い、勘違い、先入観。自分の成長を確認するときとは、ときに過去の自分を見るときです。
たとえば、投資評価などはどうだったか。そう私は自問してみます。
現在価値の考え方は、将来の金額を考えるときに、それが利率を考慮すれば違って見えることを教えてくれました。たとえ将来大きな金額に見えたとしても、それを利率で割り引けば、現在の価値としてはたいしたことがないかもしれません。将来と現在、基準が違うものを変換抜きには評価できないのです。
この考え方は、調達・購買における投資に一つのヒントをくれます。たとえば、100万円の投資をしようとしているとき。それを評価するモノサシを与えてくれるのです。現在価値の考え方を知っていれば、「100万円の投資をすれば、今後10年間にわたって11万円ずつのリターン(利益)が見込める」という計画に素直に納得することはなくなるでしょう。なぜなら、あなたは将来の11万円と現在の11万円が同一ではないことを知っているからです。