調達コスト決定戦略(3)固定費と変動費とは何か-1
・原価をめぐる冒険
100円で販売されているものは、なぜ100円なのか。
そのような、ある種の哲学的な問いを立ててみた経験のある人は多いのではないでしょうか。調達・購買とは、価格と製品にずっと向き合い、その理由を模索していく仕事です。ゆえに、その問いを持つことは、バイヤーたる第一歩ともいえるはずです。
その答えとして「理由はないけれど、競合で決まる」という人もいるでしょう。なぜ100円かは誰にもわからない。だけど、120円だったら、競合他社に負けてしまう。だから、サプライヤー同士で競わせれば妥当な価格に落ち着くというわけです。これも一理あることは否定しません。
ただ、それだけでは哀しい。競わせて価格を決めて、はいおしまい、という仕事は、なんら付加価値を生むものではありません。それでどうやって、アジア勢の安い労働者に勝つことができるでしょうか。市場に完全に価格を左右される商品ばかりではありません。もっと価格の秘密を抉り出して、価格構成要素の深いところまで見ていきたい。そう思うのです。