これからの調達業務を大胆に提案します(坂口孝則)
「娘が悪い男ばかりを好きになってしまいます。どうすれば?」
以前、このような人生相談を読みました。傑作だったのは、その答えです。回答者は某社の社長でした。「悪い男を好きにならないように育てていないので、どうしようもありません」。私は笑ってしまいました。誰かから相談されたとき、相談の前提を疑うのが定石です。しかし、それにしてもミもフタもない回答ですね。
「社員がもっと自発的に行動するためには、どうすればいいでしょうか」といった質問も同じような回答が可能かもしれません。「自発的に行動する社員を採用していないので、どうしようもありません」とかね。それは冷たすぎる気がします。ただ、真実かもしれません。
このところ、私は、新型コロナウィルスの影響もあって、今後の調達業務について方向性を考えています。将来の大きな青写真を考えて発表する人はいないので、私がまとめてみようと思い、数ヶ月前から継続的に発信を続けています。私が今回、提言書を刷新する背景となったのは次の事実です。
・企業に不採算事業を継続する余裕はなくなった
・「選択と集中」は終わった。これからは、稼げる事業を残し、不採算事業を分離し、さらに同時に未来に花咲く事業へ投資せねばならない
・花形(土台)事業、不採算事業、新規事業、それぞれの調達機能が求められるはず
・調達業務としては、花形(土台)事業は、取引先との連携強化。不採算事業は調達機能自体を外部売却。新規事業は調達機能が、開発購買というより研究購買ともいうべき、よりディープな業務を遂行せざるを得ない
さらに、命じられた仕事をこなすだけの調達部員か、あるいは、実直に改善を重ねられる社員か、または、次々と新しいチャレンジに挑める社員かで、どの役割がふさわしいか決まるはずです。理屈で考えれば、上記のような変化が起きるに違いありません。「自発的に行動する社員」かどうかが分かれ目です。
また、花形(土台)事業、不採算事業、新規事業であれ、次の変化が生じるはずです。
・調達ガバナンスの強化
・DX(デジタル・トランスフォーメーション)化
つまり、なぜ調達上の決定が下されたのか、それを監視強化することが前者です。これだけ支出管理が厳密化しているなか、ザルのままでいいはずはありません。さらに、少人数での業務執行が必然のなか、業務の手法や概念自体をデジタル化するのは必定でしょう。これが後者です。
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「新型コロナウィルスが変えるサプライチェーン・調達・購買業務」
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