4章・(9)-1 賃金がフラット化する世界とは

キーワード「上位層」「中間層」「下層」「賃金のフラット化」

 

・上位層だけが富を独占することはない

 

むかしむかしあるところに、強欲な王様が民衆を支配していました。

このようなフレーズからはじまる物語を聞くとき、「強欲で一人だけ豊かな王様」と「飲まず食わずで苦しんでいる民衆」というイメージを思い浮かべます。でも、それはほんとうでしょうか。王様だって、その富は民衆からもたらされるはずです。民衆の生産性が高くなければその富は実現しません。それに、あまりに民衆を疲れさせたら国力が低下するだけでしょう。いつ蜂起されるかもわからないし、技術の発展も止まってしまうかもしれません。そう考えると、民衆とは制圧する対象ではなく、同じく豊かな生活を営んでもらい、それなりに愉しんでもらわないと社会全体の豊かさが実現できない、という結論に至ります。

この世界の発展は、中間層が豊かになったことにありました。貴族や王族だけが富を享受するのではなく、一般大衆も豊かな生活を享受し、またその富を拡大・向上させていこうとする力に、経済の発展は支えられてきたのです。日本ではいま「格差社会」と叫ばれていますが、結局はどの時代と比べるかにより「格差」の度合いなどいくらでも変わります。国民全体が高い生活水準を実現・維持できているのは紛れもない事実です。

さて、中間層が豊かになったあとには、富はどこに向かうのでしょうか。お分かりのとおり、下層に向かいます。あなたも、ニュースで「台頭する中国」とか「インド経済の勃興」などという言葉を聞いたことがあるはずです。先進国の生活を豊かにしたあと、富は途上国に向けて飛び出しました。

  • 社会の発展とともに、富は上位層から中間層、下層に広がっていく。世界全体では、技術発展・生産性向上のあった先進国から、途上国へと富が広がっていく

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