3章・(10)-1 減価償却とは何か

キーワード「減価償却」「定率法」「定額法」

 

・会社のある奇妙なしるし

 

会社を歩いていると、変なシールに目が止まります。サーバーや裁断機などに貼られているシール。そこには、「管理番号○○―○○」などと、一点一点に名前を付けています。なるほど、それらは会社の資産です。だから、一つ一つを管理する必要があるのでしょう。それにしても、こんな細かな管理まで必要なのでしょうか。入社した当時は、そう思っていました。

しかし、ここには減価償却という制度が影響しています。減価償却とは何でしょうか。たとえば、あなたの会社が1億円の設備を購入したとします。その1億円はまるごと費用として認められるものでしょうか。残念ながら、それは違います。なぜなら、その1億円の設備は、今後もずっと使い続けていくものです。とすれば、その試用期間にその1億円を割り振って、毎年その金額を費用とするほうが会社の経済活動に合致した費用計上となるのではないでしょうか。これが、減価償却です。

減価償却には大きく二つの方法があります。

  • 定率法……毎年規定率ぶんを費用として計上していく方法です。経過年数によってその率は異なります。
  • 定額法……毎年一定額を費用として計上していく方法です。経過年数によっても、その額は変わりません。

グラフのイメージを見ていただければおわかりのとおり、定率法では購入した年に近いほど多くの費用を計上することになります。定額法は文字通り一定です。この両方のどちらを選択しても、最終的に費用として計上できる額は変わりません。

この減価償却はその資産ごとに行い、それを厳格に管理していく必要があります。私が、その細かさに驚いたシールも、要するに会社の減価償却を帳簿と現物を合致させるために必要な「目印」だったというわけです。

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