3章・(9)-2 クレジットカードは時間を利用したマジックツール
・なぜクレジットカードからは魔法のようにお金が出てくるのか
ここで少しだけお客側に立ってみましょう。ポイント制のときに、お客にとってポイントを使わなければ、その期間の利率分をソンしてしまうとお話しました。では、この逆はできないでしょうか。クレジットカードを使う行為がまさにそれにあたります。
クレジットカードを使えば、今すぐ支払わなければならないはずの1万円を1ヶ月後に先延ばしすることができますよね。あるいは「夏のボーナス一括払い。手数料なし」という名目で、さらに先延ばしすることもできます。たった1ヶ月、または数カ月。それであっても、厳密にはそこに利率分が隠れています。
あなたはクレジットカードを使うだけでその期間のお金の運用権を奪取することに成功したのです。クレジットとは、「信用」を意味します。まさに、クレジットカードは、あなたが将来支払い可能であるはずだという「信用」をもとにするものです。
だからこそ、会社勤めの人はクレジットカードが容易につくれ、フリーランスの人は容易ではない、ということが起きます。クレジットカード会社は、会社員は収入が安定的だが、フリーランスは収入が不安定だと信じているのです。私はその点には疑問があるものの、現状が透け通す思惑はそのようなものでしょう。
クレジットカード会社は、お金を時間移動させることによって稼ぐ形態です。ほんとうは翌月にならないと出現しないお金をすぐに店に渡し、それによる口銭を得ます。そして「信用ある」お客からお金を回収するのです。
あなたの財布のなかに潜むクレジットカードは、時間を利用したマジックツールといえるでしょう。