1章・(1)-2 あらためて考えてみたい「お金を稼ぐ」ということの意味

・サラリーマンという借金

9時から5時まで働くサラリーマンという仕事が、わずか200年の歴史しかない、といったらあなたは驚くかもしれません。戦後まもなく、日本人のほとんどは一次産業(=農業)に属していました。すなわち、ほとんどが自営業者だったのですね。そこから、どこかに属して働くというサラリーマンの形態が一般的になりました。

ただ、それであっても、一個人として商売をやっているのだ、という感覚は失わない方が良い、と私は思います。あなたは、知らずのうちに自分という資産を会社に販売しているのですから。もちろん、会社からすれば費用はできるだけ抑えたいために、社員の給料を下げることもあります。とはいっても、優秀な社員に辞められると困りますから、成績に応じて上げるわけです。その給料に不満であれば、転職先を探すしかありません。

ここでもう一度「売上―費用=利益」の式に戻ってみましょう。この式は、損益計算書と呼ばれる商売の結果を表すものに通じています。それと同時に、その稼ぎをもたらす体質を示すものが貸借対照表です。

この時点で「損益計算書」と「貸借対照表」がわからなくても問題ありません。簡単にいえば、損益計算書が給料で、貸借対照表が銀行預金と借金リストと考えてください。会社はサラリーマンという「材料」を使って、利益を目論みます。それと同時に、会社は、長年給料を支払う対象の社員を「借金」として貸借対照表に計上するわけです。借金には当然、利子がかかりますから、それを給料という形で社員に還元していきます。社員が借金とは不遜な表現です。ただ、会社という「売上―費用=利益」の式で動いている生物からすると、社員が費用の一部であることは否定できません。

稼ぐ、とは生きるということにつながります。そして、サラリーマンとして働くとは、文字通り会社に自分を預けるという意味に加えて、会社の借金として登録することです。働き始めたあなたは、もう「商売の世界」から無縁ではいられません。

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