2章・(9)-1 利益を出したい会社、利益を出したくない会社

キーワード「上場企業」「非上場企業」「税金」「スプレッドシート」

 

・領収書という魔法

 

「経費で落ちますから」

なんと甘美な響きでしょう。その言葉を初めて聞いたのは、私が大学のころでした。知り合いの自営業者と仲良くなり、飲みに出かけたときのことです。会計のときに財布を取り出した私を静止して彼は言いました。「領収書もらうからいいよ」と。

ここで、前提を覆します。これまで「利益は多い方がいい」という暗黙の了解で論を薦めてきました。しかし、少なからぬ人たちにとっては「利益はでない方が良い」ということをご存知でしょうか。

いや、正確に言うと日本の中小企業のほとんどは赤字です。多くの社員は不況とはいえ給料をもらって安穏としているのに、会社は赤字。これはどういうことでしょうか。それに対して、少しの赤字で大騒ぎしている企業も見ます。怒られるかもしれませんが、次の二つに分類してみましょう。

  • 上場企業……利益を上げたい。
  • 非上場企業、あるいは個人事業主等……利益を上げたくない。

「東証一部」などの言葉を聞いたことがあるはずです。上場企業とは、そのような市場で誰でも株を取得できる会社を指します。ネット上の株式売買をやっている人が目にするのは、この上場企業です。市場から多額の資金調達が可能で、大企業はほとんどこれにあてはまります。非上場企業とは、その逆の市場で株式を売買できない、有象無象の中小企業たちです。

なぜ中小企業が利益をあげたくない、などということが起きるのでしょうか。それは、税金を払いたくないからです。だから、個人の出費であっても、それの領収書をせっせと集めて費用を増大化させ、赤字にしてしまいます。税金を支払うぐらいであれば、「食事でもして使ってしまえ」というわけです。もちろん、事業に無関係なものは経費として認められません。ただ、その線引きは非常に曖昧です。

個人事業者は本を買ったときに、レジの前にある「不要レシート入れ」をすべて奪い去りたい衝動にかられます。

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