調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(3)-4

一度伝えた納入期日の遅延は許されない。そうなると、営業マンたちは柔軟な対応ができなくなってゆく。おおまかな日程でも伝えることで情報を共有したつもりだったところ、その情報が仇となって自分の首を絞めてゆく。5月に入って営業マンたちの口が固くなってしまったのはこのせいだった。

田中はこのころ、複数のサプライヤーにたいして「だいたいでも良いから納入できる日程を教えてくれ」と毎時間のように電話を繰り返している。しかし、返答は「はっきりとはなかなか言えません」だけだった。これまで「言った、言わない」で争いになるのは欧米文化だと思っていた。しかし、震災の混乱のなかで、日本にも「明確ではないことは言いまじ」とする空気になっていた。

日本のサプライヤーの復興と同時に海外サプライヤーに、その代替を求めた企業も、もちろんあった。海外サプライヤーを飛び回り、代替品入手とともに、サプライヤー工場監査までを同時にやる強行軍を組織したところもあった。これまで新規サプライヤー、しかも海外サプライヤーであれば、半年以上の時間がかかることが普通だ。しかし、2、3ヶ月でそれを実施することが求められていた。

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