調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(3)-3

牧野は、多数のアメリカ、あるいは他諸国からの参加者から、「あれだけのことが起きたのに、よくがんばったな」といわれた。日本人が放射能に汚染されており、毛嫌いされるかと思っていたところ、真逆の反応だった。原発技術者は世界的に団結せねばならない、といわれる。一国で原発事故ミスは、その一国でとどまらない。他国の原発政策に大きく影響を受ける。とするならば、全世界のサプライチェーン関係者も、敵対するどころか協力しあっていくべきではないか。牧野はそう感じていた。

そのころ、日本でサプライチェーン復興に奔走していたバイヤーたちは、営業マンの微妙な変化に気づいていた。営業マンたちが、調達品の納期について、震災直後よりも口が固くなってしまっていたのだ。震災後の混乱期には、一度回答してしまった納期がズレることが多々あった。一日や二日のズレであれば、まだ許される。しかし、それが1、2ヶ月ズレることもあった。それを正直にバイヤーに伝えに行く。すると、バイヤーは、「ウチの営業もおたくの納期回答をベースに、納入期日を客先に約束してしまっている」としかいえない。しかし、その営業マンの企業で働くバイヤーたちも同じく、その下のサプライヤーからの情報が日々一刻と移り変わっているのだ。

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