調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(3)-2

家庭は1kwhあたり20~22円程度で電力を購入している。一般的には公開されていないものの、産業界の購入単価は10~12円程度だ。本来は、累進課税のように、使用量が増すほど単価が高くなるような設定をするべきだった。一律削減を求めるのではなく、インセンティブによる電力抑制を図るべきだった。これであれば、かかるコストとリターンで各企業がおのおの方針を決めることができただろう。

このころ牧野はアメリカに渡っている。自社内の納入騒乱が収まらないなか向かったのは、ISM(Institute For Supply Management:米国サプライマネジメント協会)年次総会だった。2011年度はアメリカのオーランドで開催された。当総会では、サプライチェーン、調達・購買にかかわる最新のトピックについて、各企業(やあるいはコンサルタント)の情報が交換される学会のような場だ。昨年は金融危機一色で塗りつぶされていたところ、牧野が驚いたのは、今年は日本の震災一色になっていたことだ。

米国企業がもともと日本から調達していると知っていたわけでもなかった。いつの間にかティア2、ティア3の部品のなかに日本製が組み込まれ、東北震災ではじめて日本からの調達品があることを知った、と正直に吐露しているプレゼンターもいた。世界が連鎖するのは金融だけではない。実態のある製品においても、世界は密接に連鎖していた。その多くは、日本の復興の早さを賛賞するものだった。

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