調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(2)-8

客先のキャンセルは二つの結果をもたらした。一つは悲劇として、そしてもう一つは喜劇として。外村のように必死に納期催促をしていた場合は悲劇となった。ただいっぽうで、牧野の場合は、サプライヤーに注文キャンセルを伝えたところ、むしろ「助かります」といわれた。生産復旧が絶望的だったからだ。伊奈は客先からの注文状況を知ることが優先だといった。ただただ納期を催促することも賞賛に値するかもしれない。ただ、その前に、ほんとうに自社生産がなされるのかを確認せねばならない。どうやら、多くのバイヤーはここで伊奈の発言の正しさを確認することになったようだ。

ただ、それでもなお、自分の行為がもしかすると弊履に化すかもしれないと思いつつ、多くのバイヤーたちは終わりの見えない闘いに挑んでいた。伊奈のいうとおり、納期催促が無駄になったとしても、結局それは結果論であり、自分の担当品目の生産復旧を図る意外にないというわけだ。

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