調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(2)-16

震災発生後、納期の見通しをなかなか見いだすことができないサプライヤー、バイヤーにとって、これまでの納期問題への対応策は無力でした。震災後の混乱によって、そもそも問題の全容を明らかにできないのです。解決の糸口すら見いだすことができず、ただ呆然とするばかりでした。一方、社内からの圧力は日々増してゆくばかりです。そんな厳しい状況でも、調達・購買部門として、社外から調達すべきモノやサービスは、引き続き確保を目指すことは忘れてはなりません。ただ、同時にこんな疑心暗鬼も生まれてきます。苦労し、無理をして確保した製品は、ほんとうに顧客へ売れるのだろうか。バイヤーがこれだけモノの確保に苦労している中で、顧客は自分達以外から調達するモノやサービスは確保できているのかということです。

このような疑心暗鬼の中で、正しい状況判断を行なうことは非常に困難です。この時点で必要なこと。まず、サプライヤーからの納入再開の見通しが立たない事実を社内に伝えることです。また、お客様の需要確認を改めて営業部門へ申し入れましょう。そしてもう一つ、社内製造部門に対しては、柔軟性をもった生産計画の立案を申し入れます。今回の震災で大きな問題となったサプライチェーンは、もちろん社内の製造部門もその構成要素となります。サプライチェーンとは、決して外部からの調達だけで構成していないのです。サプライチェーンを復旧させるためには、調達・購買部門だけでなく、全社としての取り組みの必要性を主張することもバイヤーの重要な責務なのです。

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