調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(2)-2

このころ、全国の調達・購買担当者たちは、三つの問題にぶつかっている。

一つ目。「他部品との兼ね合い」。いかに自分が担当しているサプライヤーを必死に復旧させても、他のバイヤーが担当しているサプライヤーが復旧しなければ、モノは集まらず、自社生産は再開できない。とするならば、自分は担当サプライヤーをどのような心持ちで復旧させれば良いのか。

二つ目。「物流網の再構築」。サプライヤーの生産復旧が、そのまま供給につながるわけではない。サプライヤー工場と自社をつなぐ物流がある。本来は、どのように運ぶかについてはサプライヤーが考えるべきことだ。しかし、今回はどこまで介在すべきか。

三つ目。「客先からのキャンセル」。必死に部品を集め生産をつないだとしても、自社のお客から注文をキャンセルされる可能性がある。とすれば、自分がいま行っていることにどれだけの意味があるだろう。

これらの問題が複雑に絡みあって各バイヤーに降りかかってきた。

一つ目(「他部品との兼ね合い」)。これは牧野を悩ませた標準部品の不足だけではなかった。4月から多くの企業で始まっていた代替品検討は騅逝かず五里霧中のなかで、既存サプライヤー・既存品の納入催促を継続していた。

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