調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 1章(3)-9
(3)対策の立案、状況の掌握と生産の確保
【解説】
震災直後は、あらゆることが一時的に震災前とは違う、圧倒的にわからないことが多いのです。入手した限られた情報によって性急な状況判断をする必要はありません。事態は流動的であるとの前提に立って、柔軟性を持った状況判断が必要です。わかっていないことを明確にして次の情報収集の方向性に再展開する。ジレンマに耐え行なうこの繰り返しが、震災後に実施する情報収集のプロセスには不可欠です。情報収集に伴う一連のプロセスを回すために必要なものは組織内の「秩序」、具体的なアクションの「手順」、意思決定を行なう「頭脳」の3つです。あえて加えるならば、いつも通り、予定通りにサプライヤーへ購入代金が支払われることを確認することです。サプライヤーの倒産を防ぐためです。また、それでも震災直後の納入に不安がある場合、在庫を自社で持つことは一つのリスクヘッジ策です。しかし、立体自動倉庫は、物理的に破損した、また停電によるシステムダウンで再稼働に時間を要したケースもあります。ただ在庫を持てばよいのではありません。震災の被害からいかにして在庫を守るかとの考慮も今後十分な検討が必要ということです。