5章-11:仕組み・組織体制
3.施工品質状況の確認
施工が終わると、多くの取引先は及第点がつきます。考えるに、これは当たり前です。現業部門が、施工をともにした取引先を採点すると想像してください。悪い点数をつけるはずがありません。
それは、人間関係として長い時間を過ごした相手を悪くはつけられない、という理由があります。しかし、もう一つ、自己否定につながるからです。取引先の施工が悪かった、と語るのは、自分たちがうまく管理をできなかったと認めることです。改善させることができなかった、と周囲にさらけ出すことです。
ですから、本音ではどうだったんですか、という観点から聞き出す必要があります。施工、安全、管理、工期……。それらが、現場ではどのような状況だったのか。そして、姿勢はこちらに協力的で将来も引き続き、一緒になって取引をしたい相手だったのか。そういうことを語ってもらいます。もちろん、そのためには、そのほんとうのところを語ってくれるほどの関係性がなければなりません。
どんなにAIやらシステムやらが発展していったとしても、私は取引先の選定を、完全に機械が代替しないと考えています。人間が人間を選ぶ行為に、それほどの浸潤を許せないからと思うためです。
そのとき、私が思うに、古臭い表現でいえば「膝を突き合わせて語る」姿勢こそが重要になるのではないでしょうか。調達・購買部門に残された使命も、その周縁にあるはずです。