3章-40:コスト削減

バンザイを探して

本章の冒頭では、かなり青臭いことを書いておきました。利他の心をもつように勧め、自分とか部門の業績うんぬんを超えたところに、ほんとうの業務があると思うのです。

コンサルタントとして、部門に入っていると、意外なセリフに出くわします。たとえば、私が「この見積書の金額って、どうやって妥当だと判断したんですか」と訊くとします。すると、「知りませんけど、予算以下だからいいんじゃないですか」といわれたことがあります。「え、知りませんって、ご担当じゃないんですか」「いや、担当ですけれど、そこまでやってないんで、わからないんですよ」「つまり、何も確認していないってことですね」「うーん、どうでしょう」。

しかし、私は、この「予算以下だからいい」というひとを責めようとしているわけではありません。むしろ一理あるのではないかと思っています。もちろん、このような部下をもってしまった上司には同情を禁じえません。ただ、要するに、仕事が面白くないのです。面白かったら人間はなんでもやります。寝食を忘れるのが人間の特性です。

私は、「調達・購買部門にはバンザイがない」といいます。私がかつて会社員だったころ、生産部門をお手伝いしたころ。ギリギリの生産スケジュールを見事に乗り切り、最後の出荷が終わったとき、工場では拍手が鳴り響いていました。そして、みんながバンザイをしていました。

なんだこれは、と思ったことを記憶しています。調達・購買部門ではまったく経験したことのない高揚感、興奮、そして連帯。それが何か掴みきれずにいました。しかし、その何かはきっとひとびとの生きる、働く、改善する、動機と強くつながっているとは理解できました。もちろん直感的にではありますが。その欠如を現在、私は「調達・購買部門にはバンザイがない」といっています。

次から次へと伝票が流れ着き、そして見積依頼書が流れ着き、さらにはクレームまで流れ着く、この調達・購買部門で、私たちはどのようなバンザイを創出できるでしょうか。冗談ではありません。

私たちは、職場のバンザイを探すべきなのです。

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