1章-32:インフラ系調達・購買の基礎知識
実は、この会話を私が部長に伝えたところ、部長は何といったと思いますか。「調達部員がこのように夢をもっていないのは、管理職に問題がある。私がもっとも責任が重い」と。私はこの発言に驚きました。というのも、前述の通り、この部長は、他部門から移ってきたひとだったのです。だからこの部長に責任がないのは明らかです。しかし、自分に責任がある、と。
この「すべての責任を自分が持つ」というのは、かなり難しいことです。おそらく、甘えん坊の社員には1000年くらいできません。私は、他人の責任にせず、自分の責任として仕事をとらえるひとと添い遂げたいと思います。この部長は、残念ながら、道半ばで離脱しましたが、重い一言がまだ私のなかにリフレインしています。
権利を叫ぶことが常態化し、ほとんどなんら給料に見合う成果を上げられないのに、多くの人たちは、自らが悲劇のヒロインかのように思い込んでいます。会社が悪い、上司が悪い、部門が悪いと考えるだけ。だから私はあえて、現代の管理職に同情してしまうのです。
そして私は、お一人でもこのような管理職や組織人がいれば、なんとかお役に立てないかと思い続けています。
なぜならば――。
調達・購買業務とは高貴なものだと信じているからです。