4章-14:取引先管理

協力会社と蜜月になる意味

日本列島に数千存在するといわれる「取引先協力会」は、和をもって尊しとなす金融機関であってすら護送船団方式との決別を余儀なくされた現在にいたるも、連綿と影響力をもっています。

それは本来、自社と取引先、自社の構成員と取引先の親睦組織としての側面をもちながら、ときとして排他的な権益団体となる可能性を拭いきれません。現に、取引先協力会は、主要取引先が幹事役となり、新規の取引先がすぐさま加入するのは難しい状況です。実際に、その協力会における双方間の籠城は、ある種の既得権益化しています。

基本を語るまでもなく、もともと商業活動とは、一社一社の独自性に立脚すべきなのでしょう。自社と取引先が密接すぎることもなく、遠すぎることもなく、ほどよい距離感が緊張感を与え、おたがいに好影響を及ぼすのは間違いありません。必ず特定の取引先に仕事がもたらされる、という状況は、不健全な弛緩を生み、それが中長期的に見てマイナスの効果を生じさせるのは自明です。

さきほど私が語った、微妙な笑みも、もしかすると個人の立場や、あるいは学生の立場であれば存在しないのかもしれません。個人であれば「そこからは買わない」でおしまい。でも、会社間になった瞬間に、そことお付き合いしなければならない、というしがらみがふってきてがんじがらめになります。

「自由と自立を」と街頭で叫ぶ政治家が、ちっとも自由にも自立しているとも見えないのは、きっと地元と政党にがんじがらめにされているからで、おそらく政治家の見せる笑顔がつねに微妙なのも、それと無関係ではないでしょう。

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