2章-18:インフラ系調達・購買のコスト分析

労務費と外注費の混在

なお、実務的に難しくするのが、取引先の決算書を取り寄せたのはいいものの、労務費にはさほど金額が計上されておらず、外注費に多額が計上されている場合です。つまり、この取引先は、自社の社員ではなく、外部の力を借りることで、仕事を成り立たせています。

このとき、もちろん、労務費に計上されている、正社員だけで試算するのも一手です。ただし、外注費を含めて、ほんらいのコストですから、外注もふくめて一日あたりのコストを試算したい場合もあるでしょう。

通常、自社で雇うよりも、外部に任せたほうが安価なので外注へ依頼します。したがって、外注費にいくばくか修正をくわえなければなりません。そこで目安ですが、各種の調査を見ると、自社の社員と、外注のコストを比較すると、▲15%と考えることができます。つまり、外注が安いから依頼しているわけです。当たり前ですが、外部よりも内部が安価だったら、内部でやるに決まっているからです。

これは、外注先の企業が、自社よりも規模が小さく、それだけ安価に請け負ってくれる事実に依存します。そこで、例で考えてみます。

  • 労務費:1億円(←社員20名)
  • 外注費:1億円

上記の場合は、まず、労務費:1億円(←社員10名)から、1億円÷242(日)÷20(人)=20,661円が導けます。つまり、一人あたりコストは一日2万円ほどです。

次に、外注費1億円÷(1-0.15)=1億1800万円に相当すると考えられます。つまり、自社の社員だったら、それくらいかかっているわけです。おなじく計算すると、1億1800万円÷242(日)÷20,661(円)で計算すると、おおむね23人に相当すると考えられます。

したがって、社員20名+外注23人=43人が実質的な稼働作業者と考えられます。そこで、平均で考えると、(1億円+1億円)÷242(日)÷43(人)=19,220円が、おおむね一日あたり作業者コストではないかと類推できます。もちろんこれは仮説です。しかし、仮説をもっているのと、もっていないのとでは、交渉力に違いが出ます。

このように、まず、会社の実力として、作業者の一日コストを把握しておくことは有益です。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

あわせて読みたい