2章-17:インフラ系調達・購買のコスト分析
適正経費試算
また、次に適正経費試算をしてみましょう。これは、いわゆるインフラ系企業の取引先が、工事原価にどれくらい経費を加算すれば、適切な価格といえるかという問題です。
工事原価+適正経費=適正価格
調達・購買側としては、あまりに買い叩くわけにはいきません。同時に、あまりに払うわけにもいきません。そこで、ある基準を把握しておく必要があるわけです。
そこでふたたびご覧頂きたいのが、取引先の決算書です。
- 売上高
- 工事原価
- 売上総利益
上記の数字を把握のうえで、実態の経費率を計算してみましょう。
売上高-工事原価=売上総利益
これが、いわゆる粗利益といわれるものです。この工事原価と、売上総利益がわかれば、工事原価に何%をかければ売上総利益になるかがわかります。
そこで、売上総利益÷工事原価を計算いただければ、適正経費率が試算できます。もっとも、その取引先が莫大な利益を稼いでいれば、その比率は多大なものになります。しかし、常識的なものであれば、経費率の実態がわかるはずです。
なお、よく見られる見積書では、工事原価に5%とか10%をかけて、売上総利益(粗利益)を計算するものです。しかし、残念ながら、この5%とか10%では、ほとんど企業活動が成り立ちません。せめて、20%~30%はほしいところです。
実際に、取引先の決算書をご覧いただければ、20%~30%を確保していることがわかるでしょう。