2章-20:インフラ系調達・購買のコスト分析
また、データ整形を専門とする外部企業もあります。彼らに委託するのも一つの方法かもしれません。
また、この発注履歴の活用法と仕組みづくりについてご説明します。
- 一つ目は、取引先間の価格レベル比較に使える点です。まったく同一品ではなくても、類似品をいくつかの取引先から調達している場合は、このような表を作ることで、どこが安価でどこが高価か把握できます。
もちろん、その都度、相見積書をとっていれば、そのタイミングでは最も安い取引先から調達しているかもしれません。しかし一覧表を作ることに、よってどのような仕様だったらどの取引先が安いかが理解できるものです。これは現場の技術担当者に教えてあげる情報にもなります。
- 二つ目は、現場の技術担当者に対して暴走を止める仕組みです。現場の技術担当者は、あらかじめなじみの取引先に声をかけ、仕事を進めてしまう場合がよくあります。つまり調達部門に相見積書を依頼しても、結果的には、あらかじめ決めておいた特定の取引先から調達せざるをえない場合です。
そのようなとき、現場も、安価な取引先の履歴がわかっていれば、なかなか、それ以外と仕事を進めることができません。少なくとも言い訳ができなくなるはずです。そのためにも、調達価格の履歴を教えてあげることが役に立ちます。
- 三つ目は、部門の垣根を超えて、価格情報を共有できる点です。たとえば、事業部A、事業部B、事業部Cがあったとします。そのようなとき、なぜか共通仕様にもかかわらず、事業部によって取引先が異なる場合があります。
このケースでは、たんに縦割り行政すぎて、隣の事業部がどことつきあっているかがわからないのです。そこで調達側から、調達履歴を教えてあげると、調達・購買部門がハブとなり、情報の共有化が図れます。
そうすると、特定の事業部がつきあっている優良取引先の活用余地が広がります。もちろんそれは事業部の原価改善にも寄与します。