1章-3:インフラ系調達・購買の基礎知識
(1)売上高、工事原価、総利益(粗利益)
調達・購買担当部員として、まず自分たちの仕事がどこに影響を与えるかを、自社の決算書から知っておきましょう。決算書とは損益計算書と貸借対照表などからなります。「など」とは、上場企業か非常上場企業によって種類が異なるからです。ただ、基本的に損益計算書と貸借対照表は作っていますから、自社のものを入手してください。
簡単に言えば、損益計算書はいくら売って、いくらかかって、いくら儲かったかを示すものです。貸借対照表は、いくらの資産があったり、いくらの借金があったりするのか、企業の体質を示すものです。
これは、某企業の決算書をベースに作ったものです。
売上高に完成工事高とあります。これが自社の販売した年間の総額を示します。調達部員が見なければいけないのは、下の売上原価にある完成工事原価のところです。製造業では、売上製造原価などと表現されているかもしれません。これは文字通り、工事にいくらぐらいかかったのか、あるいは製造にいくらぐらいかかったのかを表現しているところです。
ただし、ここはあくまで現場の費用に限ると覚えておいてください。
次に、下に行くと、売上総利益があり、完成工事総利益と書かれています。俗っぽい言葉で言えば、これが粗利益です。売った金額から、現場の費用を差し引いた残りの利益です。
さらに、次に、販売費及び一般管理費があります。ここはいわゆる販管費と呼ばれるもので、その他の共通費です。役員報酬やあるいは従業員の給料手当などが含まれています。
決算書の各項目をチェックしたあと、調達部員が見た方がいいのは、完成工事原価の明細です。自社版の決算書であれば、その明細を見ることができます。完成工事原価報告書という名前で付表があるはずです。