2章-8:インフラ系調達・購買のコスト分析

ハーフィンダールインデックス

ハーフィンダールインデックスとは、それぞれの業界の占有率を表現したものです。つまり、取引先がその業界を独占しているか、あるいは、無数の取引先が競争状態にあるかを表現したものです。

ハーフィンダールインデックスは、理論上、最小値は0にもっとも近く、そして最大値は10,000にもっとも近くなります。これは各取引先のシェアパーセントの自乗を合計したものになります。分かりにくいので説明します。

業界で1社が独占としましょう。そうすると、100%のシェアですから、100×100=10,000です。これにたいして、シェアを3社が40%、30%、30%を取り合っているとすると、40×40+30×30+30×30=3400となります。直感的に、数字が小さい方が、競争が激しいとご理解いただけるでしょう。

この数字を、調達・購買担当者が調べるのは大変です。というのも、身近な取引先から話を聞けても、日本マーケット全体がどうなっているかわからないからです。

そこで、このハーフィンダールインデックスは、公正取引委員会が「生産・出荷集中度調査」として公開しています。公正取引委員会が、なぜこの指標を調査しているかというと、あまりにも特定企業が業界を独占してしまえば自由な競争が阻害されかねないからです。

したがって企業のM&Aなどときに、ハーフィンダールインデックスの数値を気にします。なお、彼らは独占禁止法の円滑な運用を目的としており、ハーフィンダールインデックスの調査を2年ごとに実施しています

調達・購買部門としては、この数字を業界のM&A可否指標というよりも、その業界がどれほど寡占的なのか確認する指標となります。10,000に近ければ近いほど、寡占あるいは独占なわけですから、コスト削減がしづらい、あるいは交渉してもあまり相手が価格を下げるインセンティブをもっていないといえるでしょう。いっぽうで、ゼロに近ければ近いほど、競争が盛んな業界であるわけですから、コスト削減や価格交渉がしやすい業界といえます。

次に、自社版ハーフィンダールインデックスについて考えてみましょう。自社版ハーフィンダールインデックスとは、自社の調達量が市場全体として考えた際に、その特定領域を何社で構成しているかの指標です。1社であれば、当然その取引先頼みなっているわけですから、10,000となります。無数の取引先がいれば.数値は小さくなります。このようにして、自社版のハーフィンダールインデックスを使って競合環境分析できます。

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