1章-20:インフラ系調達・購買の基礎知識
見積書依頼にかかわる内容
また多岐にわたる建設業法のうち、調達・購買部員が知っておくべき内容としては、一括下請負の禁止があります。これは、公共工事などをみなさんの会社が受注したとすれば、みなさんの会社に信頼があって注文が決まったわけです。それなのに、それを、そのまま一括して下請けに任せてしまっては、選定の意味がありません。
そのため、一括下請負は法律によって禁止されています。ただし、さきほど「公共工事など」と書きましたが、公共工事および民間工事のうち、共同住宅を新築する工事を除き、発注者が事前に書面による承諾をしている条件で、この規定の適用は除外されます。
そこで、対象となる工事が決まったあとに、調達・購買担当者は取引先から見積書を入手する仕事があります。たとえば製造業では、製品のこまかな原価明細を入手しようとしても難しいのが実情です。自動車関連メーカー、あるいは電機メーカーの一部は、取引先から見積明細書を入手して、価格査定に役立てています。ただし、それは稀です。
いっぽうで、建設業においては、取引先が、非常に低い価格を設定し、なんとか受注してしまうと、中長期的にはその取引先を害することにつながりかねません。そのため、建設工事の請負契約においては、調達・購買担当者が取引先に依頼すれば、その見積書を交付しなければならないとされています。同時に取引先も、経費も含む内訳を明確にして見積書を作成するよう、努めなければならないとされています。また、経費の内訳とは、労務費、材料費、共通仮設費、現場管理費、機械経費等です。
これは、建設業法におけるユニークな決まりとして、見積書を作成するに足りる期間を設定する必要があります。
- 下請工事の予定価格が500万円未満→中1日以上
- 下請工事の予定価格が500万円以上5,000万円未満→中10 日以上
- 下請工事の予定価格が5,000万円以上→中15 日以上
表現が「中」となっている点に注意してください。また、予定価格が500万円以上で「やむを得ない場合」は5日以内に限り短縮可能とされています。