4-(5)-2 サプライヤーデータベースの整備

黒板に書いたような、1枚で簡潔にまとめたものと、このような「視覚に訴える」グラフが毎期整備されていれば、かなりの資料作りが効率化するはずです。資料作りの要請があったときは、これらのデータを渡すか、あるいは貼り付けるだけで完了となります。

日々業務をやっていると、「あのサプライヤーの前期のコスト低減率どれくらいだったっけ?」とか「あのサプライヤーのシェアはどれくらいだっけ?」と必要に応じて都度調べたり訊いたりすることが多く、そのムダは計り知れません。それならば、定期的に定型フォーマットに落とし込んでいれば良いはずです。

特に最近では、どこのバイヤー企業も電子調達システムを導入しだしました。システム仕様に差はあるでしょうが、日々の受発注を記録していない場合はほとんどありません。期間を指定し、ボタンを押せば、その間の各サプライヤーの調達実績と品目をダウンロードできるはずです。それをベースに「使える形」に持っていきます。

まず、電子調達の実績がつまっているサーバーから、各種の情報をダウンロードするところまではできましたか。日ごろ、発注と単価決定にしかシステムを使っていないあなた。発注履歴を追えるところがあるはずですので、調べてみて下さい(これに関しては、各社システム仕様が万別なので、どうすれば良いかを具体的に言えないのですが)。そして、そのダウンロードしたファイル(エクセルとかCSV)に、その期のサプライヤー基本情報を手入力します。あるいは、項目をサプライヤーに伝えて記載してもらっても良いかもしれません。

すると、サプライヤーごとのデータベースが出来上がるはずです。これは文字と数字の羅列ですから、かなり分かりにくい。これを、前述の「1枚資料」や「調達実績・コスト低減」などの各種資料にもっていくのです。1年に一回の処理ですから、やや面倒でも、これらの数字を見ながら手作業で作ってみましょう。のちのちに重宝します。

さて、ここからは中級者向け。

データベースまで作成できたら、各種資料への自動変換に挑戦してみましょう。自動変換するくらいなので、パソコンのスキルが必要となります。(繰り返し、各社どのような形でダウンロードされるか一定でないので、説明が難しいのですが)まずは黒板に書いたような1枚資料を例にとりましょう。あのような資料をエクセルのような表計算ソフトで作成することをお勧めします。そうすれば、エクセルのセル内に、関数(VlookやSumなど)を埋め込み、データベースに入力した内容を自動的に引用したり、調達額・コスト低減率を集計したりしてくれます。

例えば、資料中で「対弊社売上高:(ここに集計結果を入れたい)円」としたい場合は、文字と文字の間でも、「=”対弊社売上高”&SUM(集計範囲)&”円”」とセルに入力することで、関数を入れ込むことができます。何を言っているか分からない? すみません、そろそろ止めにしましょう。そういう作業を自動化することもできるという紹介まででした。これ以上は本書の範囲を超していますので、興味のある方はエクセルやVBA(Visual Basic for Application:オフィスソフト上で動くプログラミング)の本を読んでみて下さい。

なお、データベースはSQLやオラクル関係を学ぶとより高度なことが(しかも自動的に)できます。私は多少理解していますが、それは趣味で覚えたことなので、バイヤーには必要とは思えません。あまり深追いすると、資料オタクになってしまうだけですので、注意が必要です。

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