5-(3)-2 情報収集力と情報発信力
・情報入手と発信は先端ツールを利用する
今では、ITツールは「知っていれば得する」というものから、「知らなければ損をする」というものに変化してきています。そして、それはバイヤー業にも大いに活用できる種類のものです。私が黒板に挙げたものから説明します。これらは全て無料でできるものです。
(1)電子メールの発達・・・メーリングリスト、メールマガジン
最も簡単に情報収集ができるツールです。メーリングリストを使い社内外のメンバーを募れば、訊きたいことを即座に答えてくれる人が出てきます。悩みごとをメーリングリストで流せば、「うちの業界ではこういう解決策がある」とか「こういう法解釈がなされた」などという意見を次々に入手することができるでしょう。また、メールマガジンを使えば、情報発信ツールとしてはもちろんのこと、自分のアイディアに対して、それを補完してくれる感想がどんどん届きます(ちなみに私は調達・購買領域で最も読者数の多い「世界一のバイヤーになってみろ!!」というメールマガジンを発行しています)。
(2)情報共有・構築システムの発達・・・ウィキコラボレーション、ナレッジ共有サイト
固有名詞は省きますが、現在web上で百科事典を作り上げようという超有名なプロジェクトがあります。これは、一人の人間が編纂するのではなく、各領域の知識を持つ個々人が「勝手連」のような形で自発的にwebサーバーに項目を書き残すというスタイルをとっています。その百科事典のすごさは、不特定多数の書き手によって日々加筆されている莫大な数の項目です。このような不特定多数の知を終結させることをウィキコラボレーションと呼びます。これをバイヤー業に使わないともったいない。ウィキのシステムは、これまた無償で貸し出しているところがあります。私の友人で調達・購買の特殊用語についてのwebページを作っている友人がいますが、そこには日々「BPO」「PLCM」などという新たな用語が書き込まれているようです。
(3)サイバー上のコミュニティの発達・・・SNS
SNSとは、一人一人がweb上に自己紹介ページを作り、日本(世界)中の人たちと情報を交換するサービスのことです。私は「購買ネットワーク会」というバイヤーの集いを主宰しています。これはリアルな対面も行なっているのですが、SNSのようなサイバー上のコミュニティも持っており、交流がさかんです。 (1)や(2)などの即効性のある情報の入手は期待できませんが、オープンであるがゆえに、思いもよらぬ人との出会いがあります。どこから検索してきてくれたのか、SNSを通じて色々な企業の調達・購買関連の役職者と交流が始まりました。通常の生活では触れ合わない人たちばかりです。これも、人と人の垣根が急速に消えたスーパーフラットな社会ゆえでしょう。このつながりで入手した情報はかけがえのないものばかりです。
社外から得た様々な情報は、確実に社内で仕事をするときに役立ちます。何よりも他人が知らない情報がどんどん集まってくるという状況は理屈抜きに愉しいはずです。やってみて下さい。まずは、パソコンをオンに。