5-(4)-1 電子調達による円滑化
・電子ツールを上手く使い業務を効率化する
調達・購買業務において、電子化の流れが加速してきています。また、それらは発注業務だけではなく、コスト分析などのサプライヤー選定業務にも広がってきました。
ただし、一部で誤解されていますが、これらを導入したらすぐに業務が劇的に改善するわけではありません。まずは、業務のプロセス整備が最初になされるべきものです。
やみくもに電子ツールを導入するのではなく、導入目的の明確化と、各バイヤーへ意識付けを行い、操作能力を向上させることが重要になります。
ある日主婦が行きつけのスーパーに行って、「私はこの1年間でいくらくらい使ったのかしら?」と問えば、おそらく「そんなの自分の家計簿を調べなさい」と一蹴されるだけでしょう。しかし、バイヤーとサプライヤーの関係においては、このような質問がまかり通ってしまうことがあります。
「うちからおたくへの昨年の発注額っていくらくらいかな?」とサプライヤーに訊いている先輩バイヤーを見ては、「自分が金を払っている額すら把握していないのか、この人は」と驚いてしまいました。しかし、他の先輩バイヤーも同じことを訊いていましたし、他企業のバイヤーも同じようなことを訊いているようです。「そんなの発注履歴を調べて合計すれば良いでしょう?」と進言しましたが、「面倒だから」と。
コスト分析に関してもなんら変わりません。サプライヤーはおのおのの製品に対して詳細見積りを提出してくれているのに、結局それらは有効に使用されていませんでした。「前回似たような製品は1,000円だけど、今回は900円だよね。何が高くなっているの?」と、これまたサプライヤーに訊いているバイヤーばかりでした。以前からサプライヤーが提出してくれているデータを使用すれば、自分なりにコスト構造を分析でき、「前回の類似品と比して、どこが高いか安いか」ということが分かるはずです。そういうことも進言しましたが、これまた「操作できないから」と。