3-(6)-1 サプライヤー集約と部品集約

・集約の考え方

集中と選択」という言葉が流行した時期がありました。「これからは集約だ!」という声が上がり、「量を増やせば安くなる」という共通認識の下で、様々な活動を展開した調達・購買部門は多かったはずです。

しかし、現実はなかなか上手くいかないことも、その活動を通じて分かってきました。

例えば、どこでもやっている部品の集約はどうか。「部品を集約したから安くできるだろう」とバイヤーがサプライヤーに訊いても、「そんなこと言ったって、そもそも部品を増やしたときに価格を上げていないから、同じように部品が集約されたからと言って価格を下げることはできませんよ」と返され、言い争いが始まります。「一つのものをたくさん作るんだから、安くできるだろう」とバイヤーが負けずに反論すると、「この程度の数量がまとまっただけでは、意味ありませんって」とサプライヤーの本音が出て、議論の混乱に拍車をかけます。

サプライヤーの集約についてはどうでしょうか。部品の集約に比べれば、まだ私も「特定サプライヤーと戦略的癒着関係を構築しろ」と言っているくらいですから、当然正しいことだと思っています。しかし、必ずしも全ての領域でいつでも集約が正しいと思っているわけではありません。

「何社のサプライヤーに集約すれば良いか」という質問に対して、多くの人は「正解は無い。しかし、製品によって最適社数を模索すべきだ」と答えるでしょう。しかし、サプライヤー集約自体を疑う人はいません。

本当にサプライヤーを集約することは常に正しいのでしょうか。1社に任せていたがゆえに、そのサプライヤーがおちぶれていくのと同時に、カスタム品ばかりですぐに切り替えることもできず途方にくれているバイヤーもたくさんいます。集約を進めてしまったがゆえに、被害が拡大してしまったわけです。

カスタム品をばんばんお願いしていたら、数年後にそのサプライヤーが「カスタム品メーカーであることを止めます。これからは、汎用品のメーカーになります」と企業方針を変えてしまうこともありえます。

あるいは、何も考えずに、同一サプライヤーへ注文を繰り返すバイヤーもいます。結果だけ見れば「集約が進んでいる先進的調達」と思ってしまいそうです。しかし、実際は右から左に仕事を流しているだけ。これで、サプライヤーの数をしぼったからといって、どんな良いことがあり得るのでしょうか。

もちろん、最初の例に対しては「バイヤーのリスク管理がしっかりできていなかったためだ」と言う人もいるでしょう。しかし、その意味でのリスク分散とは、発注サプライヤー数を分散させ、拡大させる、という意味以外ではありません。

では、どう考えるべきでしょうか?

 

ここで、黒板に書いた単純モデルを一例として用いてみましょう。サプライヤー100社から、1,000種類の部品を調達している企業です。

まず、①から②の集約です。ここではサプライヤー数を変えずに部品点数を集約しようと試みます。多種多様に使用している部品を集約するわけですから、スペックの規制が必要です。一つ部品あたりのボリュームが増える一方で、集約する過程において、どうしてもオーバースペック(過剰仕様)品を使用せねばならないことがあります。例えば、-5℃から作動し出す半導体Aと、-10℃の温度でも作動できる半導体Bでは、どうしてもBを選択せざるを得ません。そうなると、-5℃以下にはならない環境で使用する製品であっても、高価なBを選択しなければいけません。トータルのコスト低減につながるかどうかは慎重な吟味が必要です。

では、①から③の集約はどうでしょうか。これには、「新製品の開発から切り替える」か、あるいは「現在生産中の製品から切り替える」という二通りがあります。新製品の開発から切り替えるのは、まだ難しくないでしょうが、なかなか集約の効果が出るまでに時間がかかります。徐々に徐々に集約先に切り替わっていきますが、その過程(バイヤー企業によっては10年以上)では、様々なサプライヤーの部品が共存するといかなり中途半端な状態になります。集約先以外のサプライヤーを切りたくても切れないというわけです。ただ、現在量産中の製品から切り替えようと思ったら、そのコストが莫大になります。あるサプライヤーの部品を、集約先のサプライヤーの部品に切り替えるわけですから、単品評価はやり直し、組み込んで作動するかどうかの確認もやり直し。挙句の果てに、前のサプライヤーの部品在庫が多大に残っていたりして、二重在庫になったりします。これまた、トータルのコスト低減につながるかどうかは慎重な吟味が必要でしょう。

集約先のサプライヤー品に切り替えると同時に、部品点数を減らそうという試みもなされます。つまり、①から②と、①から③の集約を同時にやってしまい、①から④にジャンプしようというわけです。ただし、その場合は、どうしても前述の様々な支障が次々に降りかかり上手くいかないことがほとんどです。

したがって、サプライヤー・部品点数を削減するときは、金額・数量が多い領域に限って実施されることになります。1000部品を100部品にすることはできないかもしれない。だけど、1000部品のうち高額なトップ10部品だけでも集約を目指すことはできるのではないか、と。これは、まんべんなく仕事に力を使うのではなく、重点を置くという意味では優れています。

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