3-(5)-2 サプライヤーに対する逆転発想

2.サプライヤーへ情報を秘密にするのではなく、オープンにする

調達・購買部門は、秘密の多いところとされてきました。どのように発注サプライヤーを決定するのか。戦略はどのようになっているのか。今後どのような製品を自社で開発しようとしているのか。等々。

それらを秘密にしている理由は、そもそも調達・購買部門が、あまり戦略など考えておらずレベルを知られてしまうのが恥ずかしいとか、発注サプライヤーの決定基準などほとんど持ち合わせておらず語るべき内容もなかったとか、そういうこともあるのですが、それはまずは置いておきましょう。

それぞれクローズにしておく必要はほとんどないと言ってしまいます。もちろん、他社の価格を特定サプライヤーに教えるとか、人事等の機密事項をべらべら話すとか、そういうことはもちろん厳禁です。ただ、これまで調達・購買部門はあまりに牙城に閉じこもっていたように感じられます。

自社製品のロードマップを示せば、サプライヤーはそれに応じた社内体制の構築が容易です。戦略を語れば、それにあわせてサプライヤーはコストの競争力を増そうとするでしょう。バイヤー企業が、「いくらで買いたいのか」という目標コストも分かっていなければ、サプライヤーは詮索をしながら本気の見積りを一発で提示しようとしなくなるはずです。逆に、目標コストが共有化されていれば、そこに一丸となって進むことができます。

例えば、製品の見積りを依頼するときどうしていますか。例えば電源モジュールの仕様を提示して見積りをお願いするとします。多くのバイヤーは電源の仕様だけを提示して、「これに応じた製品の見積りをくれ」と言うだけでしょう。サプライヤーから、「これに結合するシステムは、どのようになっていますか」と訊かれても、「それは教えられません」と言っている場面を良く見ます。しかし、設計者と合同で、システム全体の仕様を隠すことなく開示したらどうなるでしょうか。サプライヤーから、「こういう全体仕様であれば、ここまでの余裕率は必要ないでしょう」とか、「ここは出力を抑えても問題ないでしょう」という製品を安くできる提案が出てくるでしょう。

ある企業などは、自社内の研究成果までを公開しているところもあります。隠すのではなく、どんどん開示すること。それによって、外部の頭脳が自社のために協力してくれます。

もちろん、NDA(秘密保持契約)を締結するなどの対応は必要になってきます。ただ、世の中には、情報をどんどん提供する人のところに情報が集まってくるという法則があるのです。

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