3-(5)-1 サプライヤーに対する逆転発想

・三つの発想が新しい調達・購買を生む

  • サプライヤーをパートナーとみなす

これまでは、自社の「お手伝い」程度にしかサプライヤーを考えていなかったので、当然「相手から安く調達すること」のみに注力されるのは必然でした。それが、サプライヤーの能力と技術を調達する時代になっていくことは、前項まででも説明した通りです。「仲間」と「共に創り上げる」という気持ちが大切になってきます。

ただ、もちろん全てのサプライヤーをパートナーとみなすわけではありません。誰も結婚相手が一人しかいないように。妾を有する稀有な方でも、せいぜい三名であるように(一夫多妻制、一妻多夫制でもせいぜい十名)。サプライヤーの中で、大事に扱う会社と、割り切った関係とする会社に分ける必要があります。

いくつかの取引を経験した後では、「良いサプライヤー」と「自社に合わない(ときには『ダメな』と表現される)サプライヤー」とに分かれているはずです。恋愛は始めることよりも、終わらせることの方が難しいように。会社は入ることよりも、退職することの方が難しいように。この「自社と合わないサプライヤー」といかに関係を終了させるかがどのバイヤー企業にとっても頭を抱える問題となっています。

慈善活動を主としない企業であれば、自社と方向性が合致し、優れた働きをしてくれるサプライヤーだけを残したいのは当然です。しかし、妙なしがらみが出てきたりして、通常は上手くいきません。そこで、バイヤー企業は ①サプライヤー全社に技術指導を行なったり、密なコミュニケーションをとったりすることで、全体の底上げを図るか ②自由取引を基本とし、退場してもらうべきサプライヤーにはどんどん取引量を減らす一方で、特定サプライヤーには強力な肩入れを実施するか という選択肢から選ぶことになります。

そりゃ、後者ですよね。仕事の注力先をむやみに広げることは、ボツボはまることが必至です。八方美人は、いつしか周囲の誰からも真の信頼を享受できていないことに気づきます。サプライヤー全体の底上げを望むことは、限られたリソース(資源)を前提とするならば、かなり悲観的にならざるを得ません。

それに対して、特定のサプライヤーに肩入れすることはまだ簡単です。前項にしたがって、サプライヤーにこちらの協業の意思を伝え、パートナー同士として一つの方向に進んでいきましょう。

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