5-(2)-3 社内の多様性を束ねる

・社内への継続したメッセージ

それでは、関係部門に一度だけ顔を出して調達戦略を語れば上手くいくのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。その場では納得してくれるかもしれませんが、日々の業務に流されるうちに、徐々にバイヤーの言っていたことを忘れていくものです。トップをおさえれば上意下達で全てが上手くいくわけでもありません。

ここは、継続した社内との調達戦略の意思統一の場が必要となります。

意思統一の場とは何を指すか。これには様々な手法が考えられます。有効な手法の一つとして挙げられるのは、各プロジェクト(企業によっては「製造部」と呼んだり「プロダクトチーム」と呼んだりしています)から一名を選出してもらい、顔を突き合わせて定期的に打ち合わせの場を持つことです。私もやっています。

その場でのテーマは

  • 調達戦略の討議と、進捗の確認
  • コスト低減事例の紹介
  • 新規サプライヤーの紹介、提案
  • 困りごとの相談

などが挙げられます。

特に、最後の「困りごとの相談」ではバイヤーが一方的に調達問題・課題を関係部門に投げかけるわけではありません。ぜひ、設計者たちに技術的な困りごとを投げかけてもらいましょう。すると、他プロジェクトの設計者から「こちらも同じことで困ったことがあった」と過去の改善例が紹介され、違うところの設計者からは「それならば、この人に訊いてみれば良い」とアドバイスがあり、さらに「こういう設計すれば良いよ」というハイレベルな回答まで繰り出されます。

この光景もまた、設計部門が細分化されたゆえでしょう。技術の伝承が行なわれなくなった、と嘆かれて久しいのですが、伝承どころか横通しさえされていないのが現状です。私は、対面するタイプの打ち合わせを繰り返すことが、どうも非効率でこれからの時代にそぐわないような気がしてなりません。しかし、懇親の意を込めた場は、それでもなお対面の方が効果的だとも感じています。

その打ち合わせをコミュニケーションの場として設定してやれば、力が合わさります。その打ち合わせに参加するインセンティブも生じ、その定期会合の価値が社内で上がっていくはずです。

何より設計者の話を聞くことは面白いですよ。

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