7章4-4<セクション3~社内関連部門とのコラボレーション>

2.購入要求部門との連携~(2)「開発購買」

製造業の調達・購買部門において、開発購買の実践が叫ばれてきました。開発購買とは、仕様決定の初期段階より、調達・購買部門が参画・関与することで、スペックインによる事実上のサプライヤ選定を避け、コストダウン活動を仕様決定段階からおこなうものです。

杓子定規にいえば、購入要求部門では仕様のみを決定し、サプライヤの決定は、調達・購買部門でおこなうと明文化し遵守すればよいでしょう。しかし、すでにそのような明文化はおこなわれているケースも多いのに、なかなか実態はともないません。

それでは、購入要求部門から調達・購買部門へなんらかの連絡がある場合を、考えてみます。購入仕様が決定した後では、注文書をサプライヤへ発行して欲しいとか、取引口座を開設して欲しいといった依頼が想定されます。それ以外の場面では、納入前であれば、希望納期とサプライヤ対応納期のミスマッチとか、納入後であれば、品質問題や、仕様違いといったことで連絡がきます。

わかりやすくいえば、サプライヤとのやり取りの結果、円滑に進まなくなってしまった場合に「なんとかしてくれ」と連絡がくる場合です。まさにトラブルの処理です。著者は、このようなケースこそ、これまでのやり方の問題点を指摘して、善処させるきっかけと考えています。

おそらく、トラブル対応時を開発購買のチャンスと”幼稚なこと”を述べる類書は存在しないでしょう。しかし、著者は経験から、この瞬間こそ重要だと思います。トラブルの発生によって、購入部門から連絡があった場合は、積極的に対処すべきです。

原因を明らかにして、バイヤー企業とサプライヤの双方が歩み寄って、問題の解決を図る。そして、再び同じような問題を防止する策を講じることを、要求部門とサプライヤの双方に依頼します。具体的には、どんな状況にあるのかを調達・購買部門にも連絡をしてもらうように依頼します。例えば、メールをCCしてもらう等をお願いします。

このような取り組みが実行されると、調達担当者が受信するメールの量は確実に増えます。しかし、まったく経緯を知らされることなく、トラブルが発生したときにだけ連絡があるよりも、実際にトラブルの処理はスムースに対応できるはずです。

また、調達担当者がメールから状況を掌握していることは、サプライヤからの金額提示があった場合に、すぐ対処も可能です。打ち合わせの日時の確認がおこなわれたら、調達担当者として同席してみるのも良いでしょう。様々な形で、調達・購買部門を双方に意識させることが重要です。

そして、その過程から購入要求部門が調達品に求める要件を聞き出し、将来につなげます。これは仕様書を読めばわかるスペックではありません。いわば、購入要求部門の本音の部分です。そこから今後の案件に提案できるネタを仕込みます。

同時に人間関係も構築していって、徐々に購入要求部門と会う回数を増やしていきます。そして声をかけてもらう機会を増やし、相手の懐に入る。これこそがチャンスを活かした開発購買の一歩です。

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