6章5-4<セクション4~コラム①「CSRに関連し企業が非難を受けた事件例」>

・サプライヤの責任問題~事例(4):S電機 太陽光発電パネル不正販売事件

  • 【事件の概要】
    ・子会社のサプライヤで生産した太陽電池パネルに、顧客に説明したよりも出力の低いパネルが混じっていたと発表
  • 対象期間中に販売した23,460枚のパネルのうち、5,476枚のパネルは、説明した数値よりも、3~5%低かった
  • 「高性能パネルの生産が追い付かず、性能が低いことを知りながら出荷を継続いていた」と社長が記者会見で説明
  • 問題発覚は内部告発。太陽光発電所の所長会に告発
  • 所長会の再三調査要請に対して、「そのような事実はない」と解答。問題発覚当初は「子会社の独自判断でおこなったこととはいえ……」と弁明
  • 実際は、販売子会社が出力数を示すステッカーの貼り替えを実施
  • 根本的な原因は、サプライヤ(子会社)の生産能力不足
  • 子会社のみならず、親会社、販売会社ぐるみが明らかに

サプライヤはスケープゴートにできません。サプライヤ(この例では製造子会社)が実際にほんとうに勝手にやったことだとしても、バイヤー企業の責任は回避できないと考えるべきです。

このテの事件では、時の経過とともに新たな事実が発覚します。さらによくあるのが、「その様な事実はない」と述べ、「子会社がやった」にすり替わり、「組織ぐるみ」の事態が明るみになるケースです。

おそらく、わからないときは、正直にそう答えるべきなのでしょう。「事実はない」との証明は論理的には不可能です。それよりも、被害者の救済と、問題の事実関係究明を同時並行的に実施していく姿勢を見せるべきです。

またこの事態に至った原因が、生産能力不足だったことで、親会社までおよぶ結果になりました。資本関係のない別法人であったとしても「サプライヤがやったこと」は、まったく理由にもならず、説明に足る根拠にはならないと肝に銘じなければなりません。

企業のCSRといいながら、今回の例は、CSR調達に近い事例でした。サプライヤにどう接すれば良いのかは、本章で説明したとおりです。さてそこで、他企業でのCSR調達を具体的に見ていくことにしましょう。

次のコラムでは、CSR調達の実践における企業事例をとりあげます。

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