6章3-8<セクション2~CSR調達の実践>

・CSR監査の具体的内容

さらに具体的なサプライヤの監査項目として盛り込むべきは以下の9つの内容です。当然ではあるものの、サプライヤへ要求するこの箇所は、自社のCSR指針や、CSR調達指針とも相似形となっています。

 

  • 自社に適用される法令の内容と動向を理解し遵守しているか
    ・法人に適用される法令:会社法、民法、刑法、労働法
    ・企業や業界によって適用される法令:下請法、他
    ・地域によって適用される法令:条例

いわゆる法令順守です。“遵守していません”と回答するサプライヤはいないでしょう。この質問に加えるとすれば「順守すべき法令、規制、条令を具体的に挙げてください」になります。自分達がどのようなルールの下でビジネスを展開しているのかを一回整理するのも効果的です。

 

  • 法令違反しない社内教育や、遵守状況の定期的なチェックをおこなっているか

・教育機会の提供(社内/社外)

・サプライヤを訪問して確認できる法令遵守内容(従業員/労働環境)

これは、法令順守を謳うだけでなく、順守するための企業としての行動を問います。調達・購買部門では、いわゆる下請法に関する教育が典型的な事例です。これは一回おこなえば済むものではなく、繰り返し定期的に実践して実効性が高まります。

 

  • 人権侵害やハラスメントの通報・相談ができる体制にあるか

・相談窓口の設定

・サプライヤ訪問(監査)時の確認

近年では、企業内で起こる「××ハラスメント」が増えています。セクハラ、パワハラ、マタハラ、モラハラ……。こういった事例は、法令違反に該当する事例と、そうでない事例があります。上記1,2で述べた内容が失われてしまった場合のセーフティーネットの仕組みを構築しているかどうかを問います。

 

  • 環境(地球温暖化、汚染物質、自然環境)に配慮する具体的な取り組みをおこなっているか

・ISO14000取得状況

・各業界におけるグリーン調達やゼロエミッションの取り組み

たとえば、サプライチェーン全体での温室効果ガス削減をおこなわねばならないとすれば、自社の排出量だけでなくサプライヤまで含めた管理をどのようにおこなっているか。そして、目標値はどのようなもので、どうやって測定しているのか。たとえば国際基準となる規格を取得・活用しているのか。

これらは、第三者に理解できる測定可能な取り組みを具体的に聞き出す必要があります。

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