6章3-9<セクション2~CSR調達の実践>

  • 製品、商品、サービスの安全性が最優先事項と社内で認知されているか

・従業員の日常的な姿勢と、唱えられた「異」に立ち止まる風土

まず、複数の「安全」が担保されているかどうかです。労働安全衛生といった従業員の安全、製品や機能といった顧客への安全です。

そして、社内が隠蔽体質にないかも重要です。さまざまな企業における「クレーム隠し」事件でも、社内の現場レベルでは製品不具合の事実は認知されていました。しかし現場レベルの誤った判断によって事実が隠蔽され、さらにそれが暴かれることで、大事件に発展しました。

企業にとってマイナスな話を、重要性にかかわらず上位者を含めた共有化できるかどうか。そういった「風土」は、なかなか定量的には測定できません。しかし調達・購買部門がサプライヤのとくに、ワンマン経営や、大きな権限をもっている上位役職者を見る場合は、このポイントを意識してください。

 

  • 公開すべき情報と、守秘すべき情報が区別して管理されているか

・情報管理規定の整備状況と、危機管理体制の整備

企業から顧客名簿が流出したり、公的機関から大量の個人情報が流出したりしています。どんな企業でも、個人情報は持っているはずです。個人情報以外にも、自社、顧客、ティア2以下のサプライヤの機密情報を抱えています。情報管理の手順の設定と、実行状況の確認をおこないます。

 

  • 地域との共存を意識した貢献をおこなっているか

・従業員の直接的貢献:近隣の清掃

・企業として組織敵貢献:地域組織と連携して活動

・金品提供による貢献:寄付

具体的には、どんなことしていますかと、実際の行動まで確認します。これは、回答の信頼性確保と、相手を褒める「ネタ」も入手できます。

 

  • 公職(公務員、政治家)との接触は、関連法規を理解した上でおこなっているか

・公務員:国家公務員倫理法(同規定)、刑法(贈収賄罪)、不正競争防止法

・政治家:政治資金規正法、公職選挙法、不正競争防止法

贈収賄は、一般企業でも多くの従業員が該当しないはずです。民間企業の場合、贈賄側となるケースが多く、原資の準備を考えるとそれなりのポジションでなければ可能とならないためです。したがって、確認をおこなう場合は、ポジションを限定します。一般の従業員に対しては「不当競争防止法」は教育すべきです。どんな企業でも、知的財産権を持っており、自社の知的財産権を保護するためにも、他社の尊重は必要となります。

 

  • 反社会的勢力との従業員の個人的、組織的な接触はないか

・企業倫理規定への盛り込み

・外部機関への相談とサポート

これも、一般的には該当するケースが少ないはずです。確認ポイントとしては「反社会的勢力」に該当する典型的な団体、組織です。これはいわゆる「暴力団」が該当します。近年では、表面的にはいろいろな体裁となっており、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標榜ゴロ、政治活動標榜ゴロ、特殊知能暴力集団といった定義が反社会的勢力として定義されています。

またインターネット上に個人や企業を誹謗中傷する内容を掲載し、金品を要求するような「ネットゴロ」といった勢力も登場しつつあります。そういった「勢力」からのコンタクトには、「毅然(きぜん)」とした対応しかありません。

 

こういった内容を現状のサプライヤ評価基準に盛りこみます。そのうえで、バイヤー企業内の周知や啓蒙活動をおこなって、サプライヤの評価へと繋げます。この9つのポイントは、必要最低限の内容です。企業として設定したCSR行動指針によっては、各項目により深い考え方と取り組みが必要となってきます。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

あわせて読みたい