5章6-3<セクション5~コラム「生産回帰しているのか」>
2-2 モノ
上記は、日本の主だった産業の出荷額の推移です。赤で囲った部分の2014年第4四半期はそろって増加傾向に転じています。しかしそのまえを見ると横ばい。さらに過去と比べても反動といったレベルです。
ここも冷静に考えれば、生産回帰とは読み解けませんでした。
2-3 カネ
海外に生産場所を設けるには「投資」が必要です。ここ数年、日本企業は積極的に海外への投資をおこなってきました。円高によって、海外への投資が相対的に安くなっていたためです。その傾向に変化があれば、日本国内への生産回帰が起こっていると判断できるはずです。
設備投資に関する調査では、日本政策投資銀行による「全国設備投資計画調査(大企業)2013・2014・2015年度 設備投資計画調査 (2014年6月調査)」を参照します。少し前のデータになりますが、他のレポートからの参照が多く、設備投資動向を参照するにはもっとも適しています。
そこから読み解けるのは次の内容です。
①2014年は、前年対比で国内・海外とも直接投資が減少傾向(増加は電気機械のみ
②国内/海外の比率では、海外の比率が減少(除く電気機械)
③日本経済をけん引する自動車では、引き続き海外投資が直接投資を上回っている
微妙な内容です。業界によってばらつきがありますし、海外の投資比率が減少=国内回帰ではありません。明確に国内回帰といえるデータではなさそうです。