5章5-4<セクション4~③国内サプライヤの倒産予防実務>

2.赤字の確認

そして赤字の確認です。上記のとおり、「2年連続で赤字になっていないか」だけ見てください。もし2年連続赤字のところがあれば、赤字の種類を確認します。つまり、粗利益(売上総利益)の時点で厳しいのか、あるいは販売費及び一般管理費が大きすぎて赤字になっているか、です。

もし販売費及び一般管理費が大きすぎて赤字になっているとしたら、役員報酬をみてください。中小企業で上場していないところは、社長や役員が株主になっており、役員報酬を自由にコントロールできます。

 

3.役員報酬

そこで重要となるのは<役員報酬の基準値>です。役員報酬の基準値は、いくつかのウェブサイトで公開していますし、役員報酬の平均値を一覧表示した書籍も出ています。みなさんが知りたいサプライヤと同規模、同業種の役員報酬をチェックしてみましょう。

さらに、たとえばではあるものの、平均が2000万円であるのに、3000万円とっていて、その結果1000万円ほどの赤字になっていれば改善は可能です。もちろん衒学的アプローチではあるものの、一つのラインとなります。

なお、前出の図では、役員報酬の下に(真性利益)と書いています。この真性利益とは、<真性利益=経常利益+役員報酬>で表現されます。たとえばこの3年分を見てみて、経常利益は横ばいなのに、真性利益が下がっているケースでは、その役員報酬を削ってなんとか経常利益を確保していることになります。そして、役員報酬が平均以下で、かつ赤字が続いているとすると赤信号といえます。

この「最悪利益」「赤字」「役員報酬」の三観点をチェックすれば、調達担当者がたった数分でサプライヤのあやうさを把握できます。

これらの調査でひっかかってしまったサプライヤが、倒産されてしまっては困る=代替品がないケースは要注意です。

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