2章-2-2<セクション1~概要編『物流の基礎知識』>
ところで、この物流といったとき、日本で量の動向はどうなっているのでしょうか。みなさんに考えてもらいたいのですが、昨今では、アマゾンなどのネット通販や、ネットスーパーなどがさかんです。「物流が世界を変える」といったテーマで特集もよく組まれています。では、量は伸びているのでしょうか。統計上は減っています。国内貨物輸送量は、約20年前、平成8年の68億トンをピークに減少しつづけ、現在ではなんと48億トンにすぎません。日本は「失われた20年」などと揶揄されます。実際に、物流量も減り続けた20年でした。なぜそれほど減ってしまったのでしょうか。
物流としての取扱量はそれだけ減っているのに、GDPはさほど変化していない事実があります。だから、経済停滞だけを貨物量減少の要因にはできません。ここでデマンドサイドと、サプライサイドからの理由を考えてみましょう。
デマンドサイドからは、なんといっても、国内生産の減少です。国内でモノを作っていないので、どうしても全体の物量は減ったわけです。しかし、海外収支があればGDPは減りません。これが一つ目。そして、経済がサービス化していくことによって、GDPの構成が非物質に代替されたこと。これが二つ目。最後に、建築資材が大幅にへったことで、商業的な物流が減少したことです。
さらにサプライサイドからは、トラック運転手の慢性的な不足があります。昨年もひどかったのですが、この業界はすぐには改善しません。おそらく、これ以降は、女性・外国人・高齢者・ロボットの活用を考えねばならないでしょう。
次には、中型免許制度があります。これは<平成19年6月2日から道路交通法の一部が改正され、新たな制度として車両総重量5トン以上11トン未満の自動車等が、中型自動車と定義され、これに対応する免許として中型免許が追加されました。>と警視庁が説明するものです。なぜこれが問題かというと、中卒や高卒で働こうとする若者が、この追加ゆえに働けない事情があります。
そして三つ目には、いまは違う傾向ではあるものの、かつての原油高があります。もちろん、日本ではさほど大型施設が発達しなかったり、用地買収などに問題があったりと、一筋縄ではいきません。ただ、一般的に考えうるのは上記の理由です。
そして、物流の機能にたいして、物流のポイントでわけるのが、次の分類です。
- 調達物流:サプライヤから製品・原材料などを購入すること
- 社内物流:加工や組み立てなどの生産のこと
- 販売物流:お客に商品を輸送すること
- 静脈物流:使用後の商品を廃棄のため回収すること
あるいはインバウンド物流と、アウトバウンド物流と呼ぶケースもあります。お客との在庫管理をアウトバウンドと呼び、サプライヤとの在庫管理をインバウンドと呼びます。
また、調達・購買部門が関わる物流は、前述のとおり、原材料メーカーやサプライヤから購入品を入手する場合に発生する「調達物流」がメインです。基本的に、国内外の調達先から自社工場までの工程が対象です。その他、調達・購買部門以外の部門が関わる物流には、工場でサプライヤからの購入品を受領してから、自社製品がつくられ出荷されるまでの「社内物流」もありえます。