5章5-3<セクション4~③国内サプライヤの倒産予防実務>
1.最悪利益の確認
まず、「最悪利益」ですが、これは文字通り<企業存続のための最悪の利益>です。最”低”利益と表現するひともいますが、ここでは最悪利益と表現します。端的に数式を説明します。
上記式では「最悪利益(額)=総資本×危険率」としました。総資本はサプライヤのB/S(貸借対照表)をチェックすればわかります。説明は不要かもしれませんが、B/S(貸借対照表)には総資本と総資産の合計が書かれていますから見てください。その、総資本に危険率をかけます。
ここでは3%を使います。たとえば総資本が1億円のサプライヤがいるとしたら、最悪利益は300万円です。経常利益がこの300万円以上になっているか確認してください。それでチェックは終わりです(なぜ経常利益かは議論がわかれますが、特別損失まで考慮してもしかたがないので、そうしています)。
直感的な意味では、<総資本の3%ぶんは最悪でも残しておけば、万が一のケースにも生き残られる>ということです。たとえばサプライヤの倒産や不回収、もろもろ不測の事態が生じます。とはいえ、ビジネス規模の3%くらいは「最悪でも」稼ぎましょう、ということです。これまた説明は不要でしょうが、経常利益で総資本の3%を確保しているというのは、従業員給料や役員報酬を払い終わったあとに残っているわけですからね。
では、なぜ3%でしょうか。税理士によっては1~3%と表現するひともいます。しかし、3%とはそれなりに根拠があります。企業倒産は、起こるとしても年に1度です。企業は倒産しないように1/365の確率をしのぎながら企業経営しています。そして、資金繰りは毎月に乗り越えるものであり、おなじく一ヶ月のうち2回の債務超過は起きません。したがって、危険率は 1/365×12(ヶ月)=3.2%です。なので3.2%を使用してもけっこうですし、ここでは保守的に3%を採用しています。