4章-4-3<セクション3~②教育される側の育成から、教育する側を育成する必要性~人事との連携>

  • 仕組みを作る調達担当者

日常業務のなかでは意識しませんが、調達担当者は企業内情報システムを活用して業務を進めています。例えば、注文に必要な内容、サプライヤ名や価格を情報システムへ入力すれば、注文書が発行されます。また、調達に要するリードタイムや、必要納入時期もシステムに登録されており、パソコンを使用して都度照会するといった具合です。

日本で業務をしていると、そのシステムの正確さと、利便性について、ほとんど疑問をもちません。それほどに、企業内情報システムは日常業務で”何の支障もなく動いている”存在です。

調達・購買部門は、海外進出先でも社内情報システムを使い業務を進めます。社内システムの立ち上げは、情報システム部門の業務かもしれません。しかし、海外進出先で立ち上げられた情報システムを、ユーザーとして活用し、システムと業務との整合性をとるべきは、調達担当者自身です。

情報システムは、使いこなして、業務のより効率的な運用が可能となります。そのためには、まず仕組みを正しく理解し、続いて情報システムを使いこなして、効率化を進めなければなりません。

自社が海外へ展開し、進出先でも調達・購買機能を持つ場合を考えてみます。日本の調達・購買部門は、海外拠点での調達・購買機能を円滑に立ち上げるためにも、これまでのノウハウの蓄積を踏まえ、現地の仕組み作りに関与しなければなりません。これには、もう一つ大きな理由があります。

日本の調達・購買部門と海外進出先での調達・購買部門が協業して生む相乗効果も、企業として期待される成果の一つだからです。協力して業務を進めるためにも、支援を受けるシステムは、国内、海外拠点とも同じ方が効率的です。

システムといった社内の仕組み作りを構築する際は、安易に情報システム部門の都合に任せるのでなく、システムを実際に使うユーザーとしての経験を生かして、仕組み作りに関与も、調達・購買部門の重要な仕事です。

また、海外には日本と異なる商慣習が存在します。日本と違う部分は、ユーザーである調達・購買部門が情報システム部門に申し出て、現地の実情に合わせて改善しなければ、システムが業務遂行の阻害要因になってします可能性すらあります。

これも前述のとおり、日本国内では、どのような法令の存在から、どのような業務システムになっているのだ、と理解していなければなりません。そこまで理解していると、海外法規などと比較しながら、現地システム構築の際に協業できるようになります。

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