4章-4-2<セクション3~②教育される側の育成から、教育する側を育成する必要性~人事との連携>
例えば、現在大手企業では情報システム化が進み、購入金額を現金でサプライヤへ支払う例は、ほぼ皆無です。多くの調達・購買部門では、パソコンのEnterキーを押し、書類にハンコやサインすれば支払いが完了します。しかし、それは後工程で情報システムと関連部門が実際の支払いにつながる作業をやってくれるから支払いが完了しているのです。
実際にどのようなプロセスで支払いが完了するのか。調達・購買部門の後工程では、どんな業務が存在しているのか。多額の急な支払いは、自社にどんな影響をおよぼすのか。そういった後工程が理解できていないと、関連した調達・購買部門内の業務を正しく教えられません。
専門性が高度化し、情報システム化の進展によって、パソコンに向かって事足りていると錯覚しがちです。実際にリアルな支払い、受け取りが、電子データの授受に変わっているといった部分もあります。しかし、調達・購買部門にとって重要な支払いを「Enterキーを押す」ていどの理解では、他人に教えられません。
支払いの一つとっても、なぜ受領日と検収日は異なるのか、支払いサイトはどのような意味があるのか、なぜ検収部門と調達・購買部門と経理部門は分離しているのか、そして、支払いにかかわる法的知識はどのようなものが必要か、などなど、いくつもの知識を習得しておくべきだったと気づきます。