4章-4-1<セクション3~②教育される側の育成から、教育する側を育成する必要性~人事との連携>
・インテリジェンス調達担当者の必要性
これまで述べたグローバル化の進展は、調達・購買部門だけではなく、調達担当者個人にも大きな変化を強いています。
- 教育できる調達担当者
調達・購買の仕事は、品質面、価格面などでいかに有利な条件で購入するかが重要です。有利な条件で購入するためには、技術(スキル)が必要です。情報力、計画力と行動力。そして、これから重要さが増すスキルとして、「教育力」を挙げます。
例えば、企業として海外に進出した場合、現地での調達・購買活動を円滑に立ち上げるには、現地の状況に即したスキルを磨くと同時に、日本国内で調達・購買活動をおこなうなかで培ってきたスキルを、進出先の現地雇用社員に伝えなければなりません。これは、前節の「進出先での調達担当者教育」に直結します。
それは、一般的に調達・購買部門として必要とされる事柄もあれば、各企業の独特な慣習・ノウハウもあるでしょう。重要なのはもちろん後者です。そして、一般的なセオリーと、企業独自の慣習・ノウハウをどのように共存させ、日々の業務に生かしていけるかがポイントです。
この点は、明文化が困難かもしれません。しかし、暗黙知のままでは、進出先での運営にさまざまな問題が発生する可能性が高くなります。海外進出では、ハードとソフトの両面でのサポートが不可欠であり、調達・購買部門に求められているのはソフト面です。
教育力を兼ね備えるためにはどうすれば良いか。それは、今自分がおこなっている業務を十二分の理解です。自分でできると、それを他人へ教えるのはまったく違います。100%教える場合には、周辺領域を含め教える範囲以上と、教えるレベル以上の部分を理解しなければなりません。
ただし、ここでの大きな変化は、「調達・購買業務知識を極める」だけの立場から、かつ「近い将来にそれを現地スタッフに伝達せねばならない」立場に脱皮することでもあります。この意識の変化は、現場の調達担当者に、業務のノウハウ化を推し進めます。
具体的には、今おこなっている業務の各プロセスのおこなう意義とか、意味と、前工程、後工程、やらないとどんな問題が起きるのかといった具体的な業務内容の詳細にわたっての理解が必要です。あたりまえといえば、あたりまえです。しかし、業務をこなすのではなく、他社への教育を前提とすれば、その業務の意味をしる必要があります。