3章-4-8<セクション3~②カテゴリごとの具体的な接し方>

バイヤー企業とサプライヤは別法人です。資本関係がない限り、企業・事業レベルで戦略を共有することはできません。まして調達・購買とは、実際のビジネスでの現場です。戦略という抽象的なものを上位概念のレベルで共有させることには無理があります。

もちろん、利益を獲得するといった点は共有できます。しかし、そもそも利害的に対峙する存在でもあるバイヤー企業とサプライヤが、抽象的なレベルを共有したところで、実際の活動には結びつかず、まったく意味を成しません。

したがって、バイヤー企業がサプライヤと共有する戦略とは、購買戦略と、販売戦略や営業戦略です。加えて、双方の技術戦略の一部も含まれることになります。共有すべきは、機能戦略レベルです。それでは、機能戦略をどのように共有し、事業へ効率的に貢献すべきでしょうか。ここで、企業経営に必要なリソース毎に、具体的な対応を述べてゆきます。

1. ヒト

調達・購買の担当者は、あらゆる場面を活用して、自社の戦略をサプライヤに伝えなければなりません。また、サプライヤの戦略も聴取して理解する。その上で、自社の戦略実行に有利となるような影響力をサプライヤの戦略構築に際して行使しなければなりません。

具体的には開発人員や設計人員などを確保いただけるように交渉します。こちらの開発ロードマップなどの提示から、おおよそのリソースが想像できるはずです。もちろん調達・購買部門だけではなく、自社/サプライヤの開発・設計部門との連携は欠かせません。

当然、異なる法人ですから、双方の戦略にはミスマッチが生まれます。それはやむを得ません。しかし、できるだけ早い段階で、バイヤー企業にとって不利な状況を察知し、バイヤー企業にマイナスとなる戦略構築に至った経緯を踏まえ、修正を働きかけます。

修正がむずかしく、かつバイヤー企業側も譲歩ができなければ、あらためて別のサプライヤとの協業を目論むといったことも視野にいれなければなりません。

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